急性白血病新薬候補化合物フェーズ1.2試験を開始

急性白血病治療薬として創製された新薬候補化合物のフェーズ1/2試験を開始

 

発表のポイント

l  庄内地域産業振興センター/国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の横山明彦チームリーダーなどによる急性白血病に関する基礎研究成果をもとに開発された新規薬剤候補の臨床試験が開始され、今般、フェーズ1/2において初めて患者さんへ投与されました。

l  今後、MLL遺伝子およびNPM1遺伝子変異を有する急性白血病の新規薬剤開発を目指します。

l  本剤の開発は基礎研究により明らかにされた分子メカニズムの理解を基盤として創薬に至った一例であり、基礎医学研究の重要性を示すものです。

 

概要

国立がん研究センターと庄内地域産業振興センター、大日本住友製薬は、急性白血病の新薬候補化合物DSP-5336(開発コード、以下「本剤」)のバイオマーカー候補の選別や適応症の検討等に関する共同研究を実施しています。

このたび、大日本住友製薬が日本および北米で実施中の急性白血病(MLL転座型白血病およびNPM1変異白血病)を対象とした本剤のフェーズ1/2試験の最初の患者さんへの投与を開始しました。フェーズ1/2試験では、薬の安全性を確認し、また安全な投与方法を調べます。その後、徐々に参加者を増やし有効性などを評価していきます。

 

MLL転座型白血病については、庄内地域産業振興センター/国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の横山明彦チームリーダーなどが長年にわたり基礎研究を積み上げ、発症メカニズムを世界に先駆けて発見し、その研究成果に基づいた本剤が「DSKプロジェクト」で創製されています。その後、国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点にてマウス病態モデルを用いた薬効評価を行い、また国立がん研究センター研究所・造血器腫瘍分野北林分野長がヒト臨床材料を用いた薬効評価を行いました。その結果MLL転座白血病以外のNPM変異白血病などでも本薬剤が薬効を示すことが確認され、臨床試験の開始に至りました。

 

 

今後、大日本住友製薬は、MLL転座型白血病およびNPM1遺伝子変異白血病を予定適応症として本剤の開発を進める予定です。国立がん研究センターおよび庄内地域産業振興センターのがん研究の実績と、大日本住友製薬の創薬研究において蓄積された知見との融合による共同研究の成果を通じて、未だ十分な治療法のない予後不良の急性白血病に対して革新的な治療薬を提供することを目指します。

 

リリース_急性白血病新薬候補化合物フェーズ1.2試験